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歯科医院の開業ノウハウ「歯科医院にまつわる税金の種類」


今回は、開業前に知っておきたい、歯科医院にまつわる税金の種類(所得税・住民税)について解説したいと思います。

先生方は、「世の中に存在する税金の種類は?」と聞かれて、どんな税金を思い浮かべますか?

所得税、消費税、固定資産税、たばこ税といったよく耳にするものから
登録免許税や入湯税といった、普段聞きなれないものまで
実はなんと50種類もの税金が世の中には存在します。

今回から数回に分け、50種類ある税金の中でも、特に歯科医院を経営する中で深く関係する税金にスポットを当て、お話していきます。



1.所得税

まずは、おなじみの所得税を取り上げます。
所得税は簡単に言うと、「もうけ(=所得)」にかかる税金です。

勤務医の場合は給料に対して所得税がかかりますし、
開業医の場合は売上から経費を差し引いた利益に対して所得税がかかります。
当然、給料が上がったり、医院の利益が増えた場合は、支払う所得税も多くなります。

もう少し細かく見ていくと

 勤務医のもうけ = 給与額面 - 給与所得控除

ここで給与額面から差し引いている「給与所得控除」とは、給与をもらう人に認められている、概算の経費のことです。
個人で事業をやっている人と同様に、どこかに勤務している人であっても一定の必要経費は負担しているだろうということで、
給与額面に応じて自動的に差し引ける経費が決まっています。

例えば、500万の給与額面の場合、144万の給与所得控除を差し引いた残り、
すなわち356万が儲け=所得となり、これに対して所得税がかかります。

一方で、開業医の場合はどうでしょうか。

 開業医のもうけ = 売上 - 必要経費

ここでいう売上には、自費診療分の売上や歯ブラシなどの物販、撤去管の売却収入なども含まれます。

必要経費には、材料費や技工代、スタッフ給与や家賃など、売上を上げ医院運営をするためにかかったものが集計されます。

■ 天引きされた所得税はどのように精算されるか?

毎月の給料からは一定の所得税が天引きされます。これを源泉所得税といいます。
この時点では、所得税を国に納めているわけではなく、勤務先の医院がいったん預かっている状態です。
医院は預かった所得税を、毎月、あるいは半年分まとめて国に納付する義務があります。

しかし、天引きされる所得税は、あくまで概算で計算されたものであり、所得税の前払いにすぎません。
1年間の給与を合計して、年間で負担すべき所得税を改めて計算する作業、それが「確定申告」「年末調整」です。

例えば、確定申告書で計算したところ、年間で負担すべき所得税は50万だった。
しかし、毎月の天引き額を合計すると55万だった。
この場合、5万円は払い過ぎだったため、還付されることになるのです。

開業されると、院長先生はスタッフに支払う給与から所得税を天引きする立場になります。
そして、その預かった所得税を定期的に納付したり、スタッフの年末調整をしてあげたりする義務が発生します。

一方で、医院自体の利益についてかかってくる所得税は別で考える必要があります。

実は、医院の売上の中でも、社保支払基金からの入金に関しては、
給与をもらうスタッフと同様に、いくらかの所得税が天引きされます。
これは所得税の前払いなので、最終的には確定申告で年間で負担すべき所得税と比較したうえで、
還付されたり、追加で納税したりすることになります。

実際は、生命保険料控除や医療費控除といった所得控除、住宅ローン控除に代表される税額控除、
なども考慮したうえで、年間に負担すべき所得税の確定作業が行われます。

2.住民税

次に、所得税と似ている部分もある住民税について見ていきます。

所得税と同様に、住民税も基本的には「もうけ」に対してかかる税金です。
違いを挙げるとすると、次の2点です。

 ①所得税は超過累進税率を使うが、住民税の税率は一定
 ②所得税は還付されることもあるが、住民税は納めるばかり


順番に説明します。


①所得税は超過累進税率を使うが、住民税の税率は一定
所得税は所得が高くなればなるほど、その部分には高い税率をかけて税金を計算します。
   ~195万:×5%
195万~330万:×10%
330万~695万:×20%
695万~900万:×23%
といった具体です。

よく勘違いされるのですが、例えば800万の所得があった場合に、その全てについて23%の税金をかけるわけではありません。
だるま落としのようなイメージで、23%の税率をかけるのは、あくまで695万を超えた105万部分だけ、なのです。

ですから、695万の場合と696万の場合とで、696万の方が手取りが減って損になるということはありません。

所得税はこのように、超過累進税率を使って計算します。
一方、住民税は所得に対して、常に一定の10%をかけて税額を計算します。
所得が100万でも1億でも、同じ10%をかけて住民税は決まります。


②所得税は還付されることもあるが、住民税は納めるばかり
所得税は、先ほども説明したとおり、「源泉徴収」という税金の前払い制度があるため、あとで還付されることがあります。

しかし、住民税の場合はそのような制度がないため、前年の所得に対する住民税を次の年に必ず納付することになるのです。
巷でよく聞く、年の途中で退職した場合、所得税は還付されたが、住民税がドカンと来た、
というのはこのような違いから起きている現象です。


所得税と住民税の仕組みについて、簡単に解説しました。

開業後はスタッフさんから税金の仕組みについて質問を受けることもあるかもしれません。
天引きして預かっているだけの所得税や住民税について、
スタッフさんから「院長になんでこんな税金を払わないといけないんですか」と言われたときにも説明できるよう、
おおまかな仕組みについては理解しておきたいところです。
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